2024年3月25日にリリースを迎えた、大村市のアプリ「おむすび。」、デジタル地域通貨「ゆでぴ」。みんな実際、どう思っている?
この事業を追っかけているビーハッピーおおむら編集部としては、みんなの本音が聞きたい! ということで松並2丁目のベトナム食堂カラテチョップさんをお借りして座談会を開きました。
大村市民、ゆでぴ加盟店、市職員それぞれの目線から「おむすび。」「ゆでぴ」の気になる点、これからの可能性について語り合いましたよ!
※座談会開催日 2024.3.21
座談会メンバー
ご協力ありがとうございます!
大村市民
大村市出身。保育士として働いていた施設を退職し、育児に奮闘中。子どもは6歳と1歳。
加盟店 ベトナム食堂カラテチョップ
兵庫県明石市出身。東京での飲食店経営を経て、2015年に大村で開業。カラテチョップの調理・SNS発信などを担当。
大村市出身。東京から慎二さんとともにUターン。カラテチョップの接客・会計などを担当。
大村市
大村市企画政策部デジタル推進課 課長。福祉関係の部署などを経て現職。アナログ人間。記事の後半で大切なお知らせがあるらしい⁈
大村市企画政策部デジタル推進課。県外から移住し、新卒で入職。アプリの事業では主に広報を担当している。アナログ人間。
アナログ人間がデジタル推進課⁉ 気になる方はこちらの記事をチェック↓
編集部
企画・編集・撮影・笑い声担当
司会進行・執筆担当
というわけで、だいぶガヤガヤしそうな予感しかありませんが、座談会をスタートします!
「リアルな人とのつながり」をつくるきっかけに
皆さんはこのアプリの説明を聞いてみて、どんなところに興味を持ちましたか?
私はボランティアをしているので「地域助け合いサービス」に関心があります。こういうのがあると心強いですよね。高齢の方がご自分でスマホを操作して申し込みするのは難しいケースもあるかな、というのはちょっと気になりました。
現状はご本人のスマホ(本人のID)でのみ申し込みが可能なのですが「高齢の親のために、遠方に住む子どもが代理依頼できるようにしてほしい」といった要望はいただいていまして。
いいですね! 実現していただきたいです。
これって、夜中でもすぐ助けに来てもらえたりするんですか?
お手伝いをする「まかせて市民」として登録する際、あらかじめ稼働できる時間帯を申告していただきます。夜間でも対応できる方がいれば依頼は可能というわけです。ただ、マッチングに少し時間をいただくので、来てほしい日の3日前くらいまでには申し込んでいただく必要があるんですよね。
アプリは必ずしもずっと使い続けなくてもよくて「リアルな人とのつながりをつくるきっかけ」になってほしいなと思っているんです。
つながりをつくるきっかけ、大事ですね。皆さんは、リアルな人とのつながりの大切さを実感されることってありますか?
うちは最近、移住9年目にして初めて町内会に入ったんです。住み始めた頃は正直あまり必要性を感じていなかったんですが、近隣には高齢の方も多いし、知らない人も増えてきて、これでいいのかな? と思うようになりまして。
例えば、地域でちょっとした問題が起きるとするじゃないですか。そんな時、周りに住んでいる人のことをよく知らないと、起きていることも自分ごととして捉えられなかったりする。そうすると解決するものもしないのではないかな……という考えを「外」から言ってしまっている自分に気付いて(笑)。ちゃんと「中」に入って、当事者として自分で良くしていかないと、って。
うちは町内会を辞めようかと思っていたんですが、その意思を伝えるつもりで出席した総会で地域の方々からいろんな気遣いの言葉をかけていただいて、辞めるのを思いとどまりました。やっぱり人とつながる場って大事だなあ、と。
町内会に参加することも「リアルな人とのつながりをつくるきっかけ」の選択肢の一つですよね。
そう、そういう選択肢の一つに「おむすび。」もなれたらいいと思います。
孤独をなくすことが、希望になる
成瀬さんは今まさに子育て真っ只中ですが、困りごとや気になっていることなどはありますか?
子育てに関するサービスを利用する時、いまだに電話予約が必要なケースが多いんです。小さい子どもがいると手が離せないことが多いし、電話一本かけるのも実はなかなか難しくて。例えばアプリを立ち上げて数カ所タップすれば予約が完了するような、手軽に使えるシステムがあればとても助かります…
それはまさに「子育て支援サービス」で実現していますね。「地域助け合いサービス」も子育てに役立ちそうですか?
そうですね。大村は転勤族も多くて、夫妻どちらの両親も近くにいない中で子育てしている人がたくさんいます。でもさっき話していたように「おむすび。」をきっかけに助け合えるコミュニティが形成されていけば、そんな人たちも救われるんじゃないかと…
大村にも子育てサロンなどの有志団体がいくつもありますが、それらをつなげるターミナルのような存在に「おむすび。」がなれるといいですよね。つながるだけですべての問題が解決するわけではないけれど、まずは孤立をなくすことがすごく大事だから。
目的は、コミュニティの形成すること
「おむすび。」「ゆでぴ」を市民の方々にもっと知ってもらうにはどうしたらいいでしょう。
若い人たちに広めるには、動画などデジタルなプロモーションが有効ですよね。一方で、デジタルが苦手な高齢の方などに知ってもらうには、まずは地区のコミュニティのリーダー的な方に理解してもらい、そこからメンバーに少しずつ広げていく必要があるんじゃないかな。
うんうん、これって必ずしも市民全員がバリバリ使いこなせるようにならなくてもいいと思っていて。まず得意な人だけに徹底的に使いこなしてもらい、そこからそれ以外の人たちを巻き込んでいけばいい。目的はアプリを広めることじゃなくて、コミュニティを形成することだから。
そういったリーダー的な役割を各世代につくるのはいいですね。例えばですけど、その役を担ってくれる方にはバッジを進呈したりして……
アハハハ! それいい! バッジほしい、おむすびバッジかわいい! レベルアップしたらゴールドおむすびバッジがもらえるとか? いいね! アハハハハハ……
ところで「ゆでぴ」の加盟店は今いくつくらいあるんですか?
リリース日の時点で143店舗(3月21日時点)です。大村市としては加盟店600店という目標を掲げていまして。ちなみに、令和4年度に紙の商品券の事業を行った時は563店が加盟店になってくださいました。
その実績があるからいけますよね!
うちは、紙の商品券の時は加盟店になっていなかったけれど……(笑)
すいません(笑)理由は、換金できるまで1カ月のタイムラグがあったからで。そこは私たち経営者にとっては大きなポイントなんですよね。その点「ゆでぴ」は月4回換金ができますし、換金手数料率も1.8%とそこまで高くないので、すぐ加盟することにしました。
加盟店が増えれば利用者も増えますよね。これからもみんなで広めていきたいですね!
楽しんで、頼り合って、育てていく
そろそろ終わりの時間です。皆さん、今日はいかがでしたか?
アプリのことはほとんど何もわからずに参加しましたが(笑)いろいろ知れてよかったです。こうやって皆さんとお話して、人と人がつながるコミュニティってやっぱり大事だなと実感しました。
私はリーダーシップをとるようなタイプではないけれど、それでも家族や友人に伝えていくことはできる。今日のことも周りに話して、私なりの小さなつながりをつくっていこうと思いました。
この事業は営利目的ではないので、長い目で見ていけるのが強みですよね。数値的な目標も必要ではありますが、みんながつながって幸福感が高まったとか、そういった定性的な部分をじっくり育てていくのが大事だと思います。
よく市外の友人たちから「大村って住みやすそうでいいね!」と言われるんです。嬉しいですよね。私自身も長年住んでいてぜんぜん不満はないんですけど、年齢を重ねた時にもっと安心できるようになったらいいなとは思っていて。
例えば、大村には高齢者に対してバスやタクシー料金の補助をする制度がまだなかったりします。そういう「もっと良くできるところ」を見つけて、みんなでもっと良い大村をつくっていけたらいいですよね。
皆さんと話しながら、私にできることは何だろうと改めて考えていて……私は日々接客をしていて、大村に移住して間もない方や海外からの方ともたくさん話すので、そういった方々に「おむすび。」「ゆでぴ」も含めて大村のことを伝えていこうと思いました。
今日はたくさんのヒントを本当にありがとうございます。おかげさまで無事にリリースを迎えられ、これからは市民の皆さんに使っていただきながら一緒に「おむすび。」「ゆでぴ」を育てていきたい……
といったところで、実は私、次年度から別の部署に異動することになりまして…
課長~!?
この事業に関しては上岡や後任の者にしっかりと引き継ぎまして、今後とも皆さんのご協力をお願いできたらと思っています。
私は次年度からもデジタル推進課で頑張っていきます! 今日は皆さんありがとうございました。この事業に関わるようになってからとにかく一所懸命やってきて、いろんな声をいただく中で自分の力不足を感じることもあったりして……
でも、今日皆さんのお話をお聞きして、私たちの取り組みを好意的に捉えてくださったり、積極的に協力してくださったりする方がたくさんいるんだなと感じました。
だから自分たちで頑張るだけじゃなくて、皆さんを頼っていくこともすごく大事なんだなと。皆さんと力を合わせて、これからも「おむすび。」「ゆでぴ」を広めていきたいと思います!
大村って、自分の地元のことをポジティブに捉えている人が多いと思うんです。自分が住んでいるまちのことを人任せにしないで、自分たちで良くしていく。そして自分のまちを自慢できる人がどんどん増えていったら、さらに魅力的な大村になりますよね。そんな好循環を生むためにも、みんなで「おむすび。」「ゆでぴ」を育てていきましょうー!
今日は楽しかったです!ありがとうございました!
『おむすび。』『ゆでぴ』とは?
「デジタルの力を活用してあらゆる立場の人がつながり支え合う市民参加型コミュニティの実現をめざす」ことを目的とした大村市の事業『しあわせ循環コミュニティ』の一環でつくられたアプリ。
まず自分のスマートフォンに“基本のアプリ”である『おむすび。』をインストール。するとその中に、『ゆでぴ』などさまざまな“個別のアプリ”をインストールできるようになります。これらを利用するには、ID作成のためにマイナンバーカードが必要です。
“個別のアプリ”については、令和5年度は『ゆでぴ』のほか『子育て支援アプリ』『地域助け合いアプリ』が使えるようになります。令和6年度以降、順次増えていく予定です!
詳しいことは市のホームページで紹介していますが、ここでは大まかに各サービスのポイントをお伝えしますね。
- 母子手帳のように子どもの成長記録がつけられる
- 予防接種などの通知が個別に届く
- こどもセンターへの相談予約ができる
- 子育てに関する自分に合った情報を検索できる
- 「助けを必要とする人」と「お手伝いしたい人」をつなぐ仕組み
- 「お手伝いしたい人」は自分ができることや活動できる日時などをアプリに登録しておく
- 「助けを必要とする人」は依頼したいことや来てほしい日時をアプリへ入力する
- オペレーションセンターが「助けを必要とする人」の依頼内容を見て「お手伝いしたい人」を助け合いペアとしてつなぐ
取材・文 ライター 北村 朱里
北海道札幌市出身、佐賀県唐津市在住。 コピーライター&コミュニケーション講師という二足のわらじでバタバタ走る個人事業主。 大村が大好きで、仕事にかこつけてちょくちょく来たいといつも思っている。 趣味は食べること、日本酒を飲むこと、人と会って話すこと。 悩みは声が大きすぎること。
編集・写真 編集長 くめ まゆみ
大村に住む人来る人が“Be happy”になりますように。大村の街が大好きで大村のが面白くて大好きだから、楽しく大村のこと発信しています。これからは市民で自分の地域を創っていく時代がくる。大村市は全国でも先駆けて「チーム大村」で街づくりを。大村にもやってきた“西九州新幹線かもめ”を追いかける鉄オタ。
雲仙市小浜町出身。大村市在住歴は30年ほど。職業は薬局事務。既に成人した3人の子どもがいる。ボランティア活動にも取り組む。